DV加害男性の手記 男性からの投書
DV加害男性の手記 男性からの投書
――「自己嫌悪で自分殴った」会社員からの投書――
拝啓、貴紙でDVが取り上げられる度に、胸が痛んだり投書を考えたり、しかし「まだcoming out するには早い」と思い止どまったり・・・。今回の連載を拝読して、一度、私のことを述べようと勇気を出してみることにしました。
私こそDVで妻を苦しめてきたーー当然、私が自身も苦しんできたのですがー人間でした。今だから”でした”と言えるように思いますし、ここ数年およそ月1回のペースでカウンセリングを受けていたカウンセラー(その方はとてもよいカウンセラーでした。感謝しています。)から、カウンセリング・プロセスが終わりに近づいたあるセッションで、「あなたもDVのサバイバーですね・・・」と言われたのが心に残っています。
今年で結婚して11年目になろうとしています。結婚する前から相手(現在の妻)に手をあげることがありました。~今、これまでのDVの過去を申し上げるは、時間が長かっただけに、紙面や時間の都合上でできないのですみません。~結婚して3年目ぐらいに一度半年ぐらい別居し、再び、一緒に暮らし(その頃は徹底的に反省し、もうするまいと相手の両親や兄弟の前で約束し、精進してきたのですが)転勤して移り住んでしばらく落ち着いて、再びというかぽつりぽつりと手をあげることがあり、―こういう時は、自分自身どうしてやめないのか!!と思いっきり殴って自分の顔をあざだらけにする自己嫌悪が起きました―自分でこれは限界だと思い、妻に隠れてカウンセリングを受けるようになりました。
“転移”ということを学びました。自分としてはかなり自分を抑え込んでいた親や女性への不満ややりきれなさ、悲しさやらがあったのだと知りました。何度か、思いがけなく、カウンセラーの前で泣いた記憶があります。
そのうち、妻から「あなた少し変わったわ・・・」と言われるようになり、嬉しかったけど、まだ”(カウンセリングに)通っている秘密”は言えませんでした。―こういうあたりにも『男らしさ』へのこだわりがあったのだと思います。
さらにたまたま新聞で見つけた”男のコミュニケーション講座”にも行くようになり、(その頃、私のDVの背景には、私のコミュニケーション能力の著しい欠陥があるためではないか、と思うようになっていました。)そこで、DVに関する本を紹介され、英語でしたがメンズ・リブの方々がラフに訳してくださったものもいただきました。この本に従って、自分の怒った時の身体の変化に敏感になることや、争いになりかけたら、一時間の約束で外出することなど、そして呼吸を整えることなど、色々、役に立つ知識を得、取り入れてきました。
夫婦関係は本当に変わり、心から笑ったり、お互い自身のしくじりのことをユーモアを交えて笑えると実感することがあります。
“幸せな人、神のめぐみを受け、その喜びに生きる人・・・”という聖書の言葉がありますが、私のことだと思います。
10年11年と苦しみましたが、夫婦関係がよくなったせいか、あきらめていたのですが、子供ができ生まれました。子供という新しい存在が加わったことで、新しいコミュニケーションパターンも学習しなくては、まごまごし、また夫婦でぶつかるタネも増えるのですが、何かDVを避ける手立てが・・・何かDVに至らずにするような発想の転換、こころのゆとり―というのかどうか分かりませんが―できているように思います。
1. カウンセリングを受けたこと
2. メンズセンターの男のコミュニケーション講座を受けたり、本を紹介されたこと
3. 何度も気を落としましたが、何とか取り組む、祈るような思いで希望し続けたこと
4. 妻が私を途中で捨てなかったこと(これは大きい。)
これらが今日のわたしがサバイバルできた理由のように思います。
DV防止には、そのサバイバーが一緒になって苦しんでいる人を助ける、自助的なことをいくと更に効果的だとか言われています。
やはりCOMING OUTには勇気がいります。でも、今苦しんでいる男性も希望を失わずにいって欲しいと願いつつ、走り書きしました。敬具。
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